一筋のひかり第１部１章

第1章: 新たな一歩

さくらは、長い間心の中で暗い霧が立ち込めているような気持ちを抱え続けていた。何年もの間、彼女は深い無力感と不安に支配され、日常生活に支障をきたすことが多かった。心の奥底に埋め込まれた痛みは、まるで目に見えない重りのように、さくらを少しずつ圧迫していった。

朝、目を覚ますと、まず最初にその重さを感じる。起き上がることすら、何かに縛られているようで、まるで体が動かない。それでも、日常の仕事や家事をこなさなければならないという義務感から、無理に体を起こして仕事に向かう。

しかし、心の中で何かが壊れている。さくらはその感覚をよく理解していたが、それを誰かに話すことができなかった。誰にも言えない。心の中の闇に、すべてを飲み込まれていくような恐怖があった。

ある日、友人との会話の中で、「最近、心の調子が悪くて…」と、初めて自分の気持ちを言葉にしてみた。友人はやさしく、ただ耳を傾けてくれたが、さくらはその後、ひとりで考え込んでしまった。「誰かに助けてもらうことが、こんなに難しいことだとは思わなかった」と、心の中でつぶやいた。

その日の夜、家に帰ると、さくらはぼんやりとテレビを見ながら心の中で繰り返していた。誰にも頼れない自分が、何もできずにただ苦しんでいる。そんな思いに駆られて、さくらは自分自身に問いかけた。「どうしてこんなにも辛いんだろう。どうすればこの痛みから抜け出せるんだろう？」

その時、ふと思い立ち、さくらはスマートフォンを手に取って「心　重い　不調」と検索してみた。何かが出てくるかもしれないと、半ば無意識に検索した。すると、検索結果に「カウンセリング」「心理カウンセリング」「心のサポート」などの言葉が並んでいた。

「カウンセリング？」さくらは目を見張った。自分が抱えている感情の整理ができるかもしれない、と思った。少し前まで、カウンセリングという言葉すらあまり気に留めていなかったが、今、目の前にある「心のサポート」という言葉に引き寄せられるように感じた。

さくらはそのまま、最寄りのカウンセリングルームに連絡を取り、予約を入れた。電話口で、セラピストの穏やかな声が返ってきた。「お話をお聞かせいただけますか？」その言葉に、さくらはどこかホッとした気持ちになり、思い切って前に進んでみようという気持ちを強くした。

その日の午後、さくらはカウンセリングルームの扉をノックした。セラピストが微笑んで迎えてくれたが、さくらはまだその部屋に足を踏み入れることに不安を感じていた。部屋は温かみのあるインテリアで、落ち着いた空気が流れている。さくらは一度深呼吸をして、心の中で自分に言い聞かせた。「今、ここで自分を変えるために一歩踏み出すんだ。」

セラピストはやさしく声をかけた。「どうぞ、おかけください。」
さくらは少しだけ躊躇しながらも、座ってみる。